私は、文中にも登場した春駒屋の私設サポセンでございます。 また別の名を、ゾウの「はな子」とも呼ばれておりました。 これは、春駒屋のIDパスワードでログインしています。 突然なうえ、大変残念なお話をお知らせしなければなりません。 春駒屋は、1月9日、急な脳疾患が原因で逝去いたしました。 全然そんな年齢ではないんですが。 しかし働き盛りに突然、襲う病とも言われているようです。 皆さん御存知のように、最後の春駒屋の書き込みが1月8日午前2時39分でした。 8日の昼間、体調不良でお休みしたい旨、師匠の所に電話を入れています。 自分で医院に行ったらしい事もわかっています。 検視の結果、9日の未明に、クモ膜下で出血の可能性が高く、一瞬のうちに息を引き取ったのではないかと。 私をはじめ、周りの残された者たちは、未だに信じられない気持ちです。 しかし、現実は待ったなしで進んでいきます。 過日、お葬式を済ませ、春駒屋の肉体の方は、白くて立派な骨になりました。 斎場でも一番大きな骨壷に入りきらず、火夫の方が恐縮しながら詰め込んでいました。 春駒屋の魂の方は、残念ながら私はその感受性が乏しいのでどうして居るのか判りませんが、本人をよく知るある方は、実家の方にいるようだ、と。 そして、いろいろゆかりの所に飛び回っているようだ、とも。 そう言われれば、そんな気配がしているのかな、と思う時があります。 一緒に暮らしていた動物たちは、ゆかりのある行き先に少しづつ歩んで行けるよう、話し合っているところです。 春駒屋を直接御存知の皆様にお願いなのですが、この日記の存在を知るのはネットで知り合った方々や生き物関係、昔からの友人が中心で、お母様や御家族の皆さんは、春駒屋の生々しい生き様の綴られたこの日記の存在はご存知ありません。 この日記上で交流あるご近所さんとも話し合ったのですが、もう少し落ち着くまで、御家族にはこの日記をお見せするのは待とう、という方向になっています。 ですから、この日記をご覧になられて、なおかつ御遺族に面識をお持ちの方、どうぞ、今しばらく、春駒屋の御母堂の心の落ち着くまで内緒にしてあげてください。 あと、この日記の終盤で、師匠とのギクシャクがしたためられていますが、春駒屋はその後、その問題に関しては師匠と談判し、和解に至っております。 そこでこの正月、春駒屋はお揃いの高級防寒ブーツを師匠に贈呈しております。 身一つで叩き上げで現在を得た師匠だけに、油断できない!所はありますが、春駒屋も以前書いているように、基本は我が侭でかわいいじいさんです。 師匠は今回の事でも相当凹んでおり、先日も自分は店に行ったのですが、店を一人で回す師匠の要領の悪いのにキレた客が、「いつもの人はいないのか」と禁断の一言に、 師匠はもごもご下を向くだけでした。 そういうわけで、馬肉は相変わらず美味しいので、もし店を御存知の方は、「梅太郎、音二郎の飼い主を偲んで来ました」とけん制しつつ、お肉を買ってみてください。 (師匠にこのブログの事は内緒で!) 今の所、そういう客に変な肉を出すほどの度胸は無いのではないかと思います。 このブログは、余程の事が無い限り当分は閉店する予定はありませんので、いつでもいらして頂ければと存じます。 可能であれば、生き物たちの去就も御報告いたします。 以上、春駒屋私設サポセン記す。 #
by newhorse
| 2009-01-20 16:16
| おともだち
馬刺しだけは2日3日4日と売っていて、私も3日休んだだけでお店には出ていた。
でも、今日が正式な仕事始め。 その前に、師匠のお肉屋さんの規模について様々な憶測があるみたい。 あまりにも汚かったスライサーも、今日やっとチェーンの部分を掃除した。・・・でも、きっとまだ、「うげっ」っていうほど汚れた場所はあるとは思う。けれど、トッテモぴかぴかでかっこよくはなった。 で、そんなにキチャナイ肉屋なんて、たいしたことはないだろうと思っていらっしゃるあなたっ! おととしのモツの売り上げが1900キロ!だったそうです。 ・・・怖いですねぇ。 豚になおすと、約3100頭の上ですよ。 従業員は少数精鋭。 売っているものは、普通にスライスした肉ですが、仕入れはがたがたキーキー叫んでいる。 だから当然、おいしい。 そして、店頭には基本的に挽肉は置いていない。 なぜならば、新鮮すぎる肉は、ペースト状につぶれてしまって挽肉にならないから。 挽肉は、基本的に注文挽き。 その時々に適した肉を挽いている。 私の仕事始めは、ガタガタいってる馬をセンターに連れて行って、枝肉のお掃除をすることだった。 枝肉のまま肉屋に納めるのならば目方が収入だから、血抜きの仕上げと切損じのびろびろを整えるだけだ。 自分の店で売る枝肉の場合は、骨抜きなどの処理料を重量で取られるから、腎臓をはじめ、腹回りの脂肪や首周りの肉などをトリミングして、にじるように経費を抑える。 全てのお金は、動物の肉から得ている肉屋ですから。 ・・・それにしても、 「ちょっと待っていてね」なんて、枝肉に話しかけている自分に気づき、かなり終わったものを感じてしまった今日この頃。 あけましておめでとうございます #
by newhorse
| 2009-01-08 02:39
| 肉屋
「黒電話が使えなくなります」
こんな口上で5年前、長男は電話リースの詐欺に引っかかった。 月々のリースの支払いが2万円。3年分も残っている。 日々の業務にも余裕が出てきてからは、このリース代が業腹だった。 そんな11月の末、一本の電話がかかってきた。 NTTが高すぎるリース代の見直しを始めたというのだ。 そりゃ結構とお願いした。 12月1日 その人Yは現れた。 Yはとても感じのいい人で、期間は延びるけれど、月々のリース代は千円安くなって、ファックスにかかっていたナンバーディスプレイなどを解約すれば7000円ぐらいお安くなりますよ。ってことだった。 総額では、今のままの契約よりも期間延長する分で50万円ぐらい多く支払うことになるけれど、師匠は月々千円でも安くなって、馬鹿息子の残した電話機と手が切れればいいって感じで契約をした。 翌日は火曜日で定休日だった。 梅太郎の小屋に入れる籾殻をなんとしてでも貰いに行かなければならなかったのだが、前日に、「企業との契約ですのでクーリングオフは出来ません」と言われたことが気にかかって調べてみた。 確かに、会社名義での契約は、クーリングオフの対象にはなっていない。 けれどもしつこく検索してみると、リース契約の解除について、電話のリース契約などの特定のものに関しては、機器が納品されていなければ解約できると法律が改正された、ってあってた。 解約できるのなら、契約内容をもう一度吟味しなければなりません。 会社に行って、契約書をよくよく読むと、一番大切な現在のリース契約を解約します、なんてことは書いていない。 まず、NTTに連絡。 現在の契約を解除するには、残金の一括返済しか方法は無いという。 次に、新規のリース会社に電話すると、そのような書類はきていないけれど、あがって来た時点で事務処理手続きに入ってしまうので、元の契約した会社と話を付けてくださいってことだった。 ここで私は、第一の過ちを犯した。 師匠に相談しないで、先方に連絡を取り、現在のリース契約は責任を持って解除いたしますっていう一文を書き加えてもらってしまったのだ。 その経緯も今思えば複雑で、会社には担当者がいないし、営業のYの携帯には、折り返しの連絡すら付かない状態だった。 来週の火曜日には、師匠は別件で顧問弁護士のものに相談に行くからっていうゆるい考えもあった。 でも、この日の一連の私の報告を聞いた師匠は、この契約自体を心配してしまったようだ。 翌週、師匠は弁護士に、この契約で何の問題もないって回答を貰ってきた。 ・・・ソノベンゴシ、ヘナチョコジャネェノ? そうこうしていたら、12日に突然、ファックスだけ設置に来ましたって男性がふたりやってきた。機材が一部でも設置されてしまえばリース契約は成立だ。 でも、NTTとの契約も含めて一気に設置するのが当初のお約束だったはず。 頑なというよりも、強固に拒んで業者を追い返した。 追い返すにあたって、契約に来た人と、複雑な経路の携帯電話で担当者Yとやり取りをさせてもらい、詐欺を確信した。 とても感じのいい女性で、彼女を疑うってことは犯罪的なような気までするのだった。 とはいえ、新規のファックスナンバーも決まっていない状態で機器だけ入ったって、迷惑なのも事実だ。 しかし、本工事は17日に決まってしまった。 師匠が望んでいるのだからしょうがない。 窮余の策として、連帯保証人になっている私は、保証人を降りることにした。 そして、顧問弁護士を通じて解約してもらう運びにしたのだ。 師匠は、「わしは男だ!一度やめに決めたことを覆せるかっ」 とか何とか言いつつ、ごやごやとしていた。 いわく、連帯保証人だったら、ハンコさえあれば連絡の取れない妹さんでも代筆で大丈夫です。とかYにいわれて、「男の気持ち」はゆれゆれだったみたい・・・。 それがまた、なんだかかんだか、19日に「覚書」なるものを持って相手方の女性Yがやってきたのだそうだ。 埼玉の川口からわざわざと。 この覚書に、私の欲しかった核心の全てが書いてあった。 ???ところが、大先生のお弟子なのだそうな顧問弁護士様からじきじきのお電話があり、不利な内容ではないからこのまま契約を進めるようにとの御指示があったのだそうだ。 「その弁護士、ちゃんとした人なんですか?」 この一言が、師匠の導火線に火をつけた。 「あんたにいろいろ吹き込んでいる人は、いったいどういう人なんダッ!?」 ・・・インターネットだって言ってんだろうがっ!! 結局、私が自分の保証人を降りたことが気に食わないらしい。 仕方が無いのでこう言った。 「リースの期間が延びて、払い終る前に万が一御長男が戻ってこられたときにもめるのを見たくなかったから」 そうしたら、師匠はしじみと、 「あの人はもう、戻っては来ないんだよ」と話しはじめ、その所業と胸のうちをお打ち明けになられた。 そして調子にのられた師匠は、もうひとつのプランの話までし始められた。 石和の大きな肉屋のお番頭に、お嫁さんを見つけてくれという話がある。 師匠の弟のちびやくざの娘がふたり、独り者でいる。 一緒にさせて、ゆくゆくは店を継がせようと思っている。 ・・・・・・ありえない・・・。 とんでもない二枚舌です。 私には、私の名義に変えて、ヤマさんを頼んで豚も生きたまま買い付けて他とは違う商売にしよう、なんておっしゃっていたのに・・・ 必要なときだけいいように使って、後はお払い箱。 それなら絶対、今回のリース契約は解除しなければなりません。 私がうっかり忘れていた実家からの注文を届けながら、じっくりと考えました。 そして、深夜、「覚書」の正しい解釈を、師匠を揺り起こして、優しくゆっくりと囁き込みました。 一旦いい人だって思い込んでしまった人のことを、疑うのではなく、全否定するには、それなりの気力が必要ですから。 寝ぼけているときに、あなたは悪くは無いのよってフォローをきかせて吹き込むのが一番です。 業者に送る内容証明郵便の書面については、20日の午前中なら地元の司法書士の先生が書いてくださるということで、お願いしました。 22日の月曜日に、発送しました。 そうしたら、師匠から、弁護士と連絡を取ってくれと電話がありました。 どうやら、業者が弁護士と話をしたらしいのです。 私は今回の人のつながりについて、徹底的に考えました。 師匠は圧倒的にそびえ立つ「ばかの壁」です。 そして、弁護士は、盆暗です。 相手の業者は詐欺師です。 師匠の「ばかの壁」で分断されたわたしたちは、詐欺師たちの良いカモです。 しかも師匠、自分だけはいい子でいようと嘘をつく癖があるし・・・。 弁護士は、最初の契約書の一番大切な一文が後から書き足されたものであるということを、私に指摘されるまで、気が付きませんでした。 さらに、詐欺師から送られた「覚書」にいたっては、読み合わせをしなければ判読できないほど薄い印字だったのだそうです。 ・・・・・・ボンクラ。 詐欺師Y は、「覚書」をこちらから弁護士に送るって思わなかったらしく、弁護士が見たって知ってからは態度が違っていました。 その後、おおもとのリース会社から支払い明細がきているって、師匠がこそっとおだしになるから、みんなで目をとんがらせながら内容証明郵便で契約解除させていただきました。 あわや、ダブルリースです。 師匠がうっかり会社をたたんでしまわれたら、私が背負い込むところでした。 って言うよりも、険悪な日々が続いています。 そして、朝、目覚めると、泣きはらしたまぶたでは、外に行けない状態です。 せっかく転んだことですから、胸のすくような見返りを要求しなくてはね♪ #
by newhorse
| 2008-12-26 02:26
| 肉屋
まだ東京の立川に屠場があったころ。
国立の美学校では牛の枝肉を素描にいったりしていたらしい。 肉屋も内臓屋も畜産農家もそれぞれのやり方で商売をしてたくましくやっていた。 でも、行政の方針なのか、各都道府県で統廃合されてしまい、東京では芝浦。神奈川では厚木。規則厳しく、管理はしやすくなったのだろうけれど、商いの隙間は狭まった。 肉屋の店を引き継いだとき、ほぼ唯一の引継ぎが、≪もつは品薄で、近々値上げをする≫ってことだけだった。 それなのに師匠は、病気で倒れた5年前から前線を退いていたために、ゆるく構えていた。 主力商品のひとつであるモツの値段も、開業当時のままだったので、一旦品切れになってから値上げをしようなんてつもりだった。 冷凍庫にあった800キロの在庫が僅かになったとき、≪ハム屋の小僧≫といってあしらっていた営業がモツ担当だと理解し、交渉を始めた師匠はあっという間にけんか腰で決裂した。 品切れになって二日目、私は師匠に苦言した。 「モツが無いってことは、モツ切の職人さんの仕事も無いってことですよ。モツが入ってくるまでに別の仕事に就かれてしまったら、もううちではモツは売れないってことですよ」 師匠には、この店がたくさんの人たちの生活を支えているっていう自覚がまるで無い。 この店からしか入手できない食材で人気メニューを供している飲食店は、顔面蒼白である。 ・・・俺様商売。 おとといやっと200キロの目途がたったけれど、当てにしきってはいけないようだ。 そして今日、わたしが見ていないところで師匠は頭を下げたらしい≪ハム屋の小僧≫が殊勝な面持ちで現れた。 大見得切っただけのモツが入手できなかったのだそうで、150キロだけ持ってきた。 わたし的には、申し訳なさそうな態度は高感度アップだった。 けれど、チャッカリ値上げ交渉をしていったので、不信感も隠し味。 とはいえ、200キロって年末に一日で売れる量だそうなので、売り渋る気持ちもわからなくも無いけれど・・・売りましょうよ。 それにしても、師匠は大口を叩くから私も強く出ていたけれど、5年間の空白のうちに、世情も激変しているし、昔の仲間は絶滅危惧種だし・・・。 やさしく接してあげようと思いつつの、けど、これは、修行。 #
by newhorse
| 2008-12-19 03:03
| 肉屋
朝っぱらから、領収のはんこを押すタイミングの問題で師匠ともめた。
領収なんだから、いつも必ず支払ってくれるお客さんだからといって、集金に行く前に押してはいけない。 突っ込んで攻めたら、師匠が切れた。 「わしはなぁ!もう100年も肉屋をやっているんだぞっ!!」 ・・・ミッキーマウスと同い年なくせに。 #
by newhorse
| 2008-11-27 04:04
| 肉屋
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